バブルってなに?身近なもので学ぶ、お金のふくらみと危険な兆候
バブルという言葉、耳にしたことはありますか?
「バブル」という言葉を聞いたことはあっても、それが一体何を指すのか、なぜ怖いと言われるのか、はっきりとは分からない方もいらっしゃるかもしれません。投資について考えるとき、このバブルという現象を理解しておくことは、ご自身の財産を守るためにとても大切です。
この記事では、投資に初めて触れる方でも分かりやすいように、バブル経済がどのようなものなのか、そして私たちの日々の暮らしの中でどのような兆候に気づけば良いのかを、身近な例を交えて丁寧にご説明いたします。
バブルとは「お金の風船」が大きく膨らむこと
バブル経済とは、簡単に言えば「物の値段が、実際の価値よりもずっと大きく膨らんでしまう状態」を指します。まるで風船がどんどん膨らんでいくようなイメージです。
例えば、人気のあるゲームの限定カードや、期間限定のおもちゃを想像してみてください。欲しい人がたくさんいると、その値段はどんどん上がっていきます。発売当初は数百円だったものが、数千円、数万円になることもあります。
このような状態が、会社が持つ土地や建物、あるいは会社の株などで起こるのが「バブル経済」です。多くの人が「きっともっと値段が上がる」と信じて買い続けるため、実際の価値とはかけ離れた値段になってしまうのです。
しかし、風船がいつか割れてしまうように、膨らみすぎた物の値段も、ある日突然、急速にしぼんでしまうことがあります。これが「バブル崩壊」と呼ばれるものです。
なぜバブルは起きるのでしょうか?
では、なぜこのような「お金の風船」は大きく膨らんでしまうのでしょうか。主な理由をいくつか見ていきましょう。
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みんなが「値段が上がる」と信じるから 「この土地は将来もっと高くなる」「あの会社の株を買えば必ず儲かる」という期待が広がると、人々は競って物を買おうとします。買い手が多いと値段はさらに上がり、その上昇が新たな期待を呼び、雪だるま式に膨らんでいきます。
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世の中にお金が溢れている時 銀行にお金を預けてもほとんど利息がつかないような時代には、人々は「もっと増える方法はないか」と考えます。そんな時、儲かりそうな話があると、銀行からお金を借りてでも、あるいは貯めていたお金を使ってでも投資しようとする人が増えていきます。銀行もお金を貸し出しやすくなるため、世の中に流通するお金が増え、それが物の値段を押し上げる要因にもなります。
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新しい技術や情報への期待 新しい産業や技術が注目されると、「この分野は未来がある」と多くの人が考えます。そのため、その関連企業の株や、その企業の周りにある土地などの値段が急激に上がることもあります。
バブルの「危ない兆候」を見抜くヒント
私たちは日々の生活の中で、バブルの「危ない兆候」に気づくことができるかもしれません。大切な資産を守るために、次のような点に注意を払ってみてください。
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身近な人が「儲け話」を始める 普段は投資に興味がないような人、例えばご近所の主婦仲間や、親戚などが「あの株で儲けた」「この土地を買えば絶対大丈夫」といった儲け話を頻繁にするようになったら、少し注意が必要です。情報が広く行き渡り、皆が「今がチャンス」と思い始める頃は、既に熱狂的な状態に陥っている可能性があります。
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物の値段が「異常に高い」と感じる 「こんなに高いのに、なぜみんな買うのだろう?」と感じるような商品やサービスの値段が、当たり前のように受け入れられ、さらに高騰している状態です。特に、本来の価値や生産性に見合わないほど、特定の土地や建物の値段が急激に上がっている場合は、バブルの兆候かもしれません。
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根拠なく「きっと上がる」と信じられる 具体的な理由や会社の業績などではなく、「みんなが買っているから」「今まで上がってきたから」といった漠然とした理由だけで、今後も物の値段が上がり続けると信じられている状態です。「買わないと損をする」という焦りが広がることもあります。
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怪しい「投資話」が増える 「元本保証で必ず儲かる」「短期間で何倍にもなる」といった、魅力的ながらも信じがたい投資話が突然増えたり、勧誘される機会が多くなったりすることです。これは、人々の「儲けたい」という気持ちに乗じた詐欺のリスクも高まる時期でもあります。
大切な資産をバブルから守るためのヒント
バブルの兆候に気づいたとしても、慌てる必要はありません。大切なのは、冷静に状況を見極め、ご自身の資産を守るための行動をすることです。
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すぐに飛びつかない冷静さを持つ 周りが「今がチャンス」と騒いでいる時ほど、一度立ち止まり、「なぜ今、こんなに盛り上がっているのだろう?」と考える冷静さを持つことが大切です。不確かな情報や、他人の成功話に流されないようにしましょう。
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「これはおかしいかも?」と疑う視点 もしも、あまりにも良い話や、説明が難しいのに「とにかく儲かる」と強調される話に出会ったら、「おかしいかも?」と疑ってみる視点が重要です。ご自身の納得がいくまで、質問をしたり、詳しい人に相談したりする姿勢が、詐欺や失敗から身を守る盾となります。
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一つのものに集中させない 投資をするのであれば、特定の株や土地など、一つのものに資金を集中させないことが大切です。卵を一つのカゴに盛るな、という投資の格言のように、もしもの時に備えて複数の異なるものに分散しておくことが、リスクを抑える基本となります。
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自分で考え、長期的な視点を持つ 投資は他人に任せきりにするのではなく、ご自身でしっかりと学び、判断する力を養うことが重要です。また、短期間で大きな利益を求めるのではなく、長い目で見て着実に資産を増やすという視点を持つことが、安心して投資を続けるための鍵となります。
まとめ
バブルは、私たちの経済活動の中で繰り返し現れる現象です。投資初心者の方にとって、その仕組みや兆候を知ることは、将来の資産形成を安全に進めるための大切な第一歩となります。
急激な価格の上昇や、身近な人たちの「儲け話」には少し注意を払い、「おかしいな」と感じたら冷静に考える時間を持ちましょう。そして、ご自身のペースで、無理なく安全に資産を守り育てる方法を探していくことが、何よりも大切です。